忍者ブログ
どーでもいい、管理人の日常とか思った事とかつらつらと。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

高校の頃教えてくれた国語の先生は、とても素敵なお方でした。

授業1時間分みっちり源氏物語のあらすじを語り尽くしてみたり
「浴衣はチラリズムがいいんだ!」と断言してみたり
美しい足とケツを作るには、階段をつま先立ちで上るのがいいとか言い出してみたり、
授業中も定期的に話が脱線するのに、何故かどのクラスよりも授業の進度が早かったり。

あ。ちなみに、男性です。
…今思うと、結構セクハラ的発言が(笑)

そんな素敵な先生の名言で、勝手に1つSSを作ってしまいましたとさ。
エドウィンです。べつに、エドウィンでやる必然性はないんだけど。
ぬるいです。自分的にはほのラブです。短いです。装飾ないです。
それでも良ければ、続きからどうぞ。

「命がけじゃない恋なんて、ない。」

↑名言。
その先生が思いついたことか本か何かで読んだのかはわからないから
もしかしたら既出な発想なのかもだけど。
私は「あー。なるほど。そっかー」って思ったもので。

ちなみに、この発言も授業中の脱線で出た言葉。
…一体、どんな話の流れでこんなことに(笑)

**************************************************

それは、雨がそぼ降る夏の午後。
こんな日は、自室にこもって黙々と読書が一番いい。

俺はベッドに寝っころがって錬金術の本。
ウィンリィは、その横の椅子に座って機械鎧の専門雑誌。
ふと思いついたようなウィンリィの声が、いつもの光景の静寂を破った。

「ねぇ。知ってる?」

顔も上げずに「何?」と答えると、ベッドのスプリングが揺れた。
首をひねって見ると、ベッドの端にちょこんと座るウィンリィが目に入る。

「人間が死ぬまでに打つ心拍数って、どの人でも同じなんだって。」
「あー…。聞いたことある。
 ネズミも象も、死ぬまでに打つ心拍数は同じ、とかってやつね。
 ネズミの方が1分間の脈拍数が多いから、寿命も短いんだよな。」

いつも通りの雑談と判断し、また本に目を戻して答える。
ウィンリィの、次の言葉は返ってこない。

しばらく、また互いにページをめくる音だけが続いたが、
パタンと雑誌を閉じる音と一緒に、ウィンリィがポツリと呟く。

「私、長生きできないだろうなぁ。」

突拍子のない発言に、思わず振り返る。
ウィンリィは、驚くでもなくぼんやりと前を見ている。

「え?…っと。それはまた、何故そんな?」

体を起こしてベッドに座り、ウィンリィの方に向きなおって
我ながら間の抜けた聞き方だとは思いつつ素直に理由を聞くと、
さらに突拍子もない意味不明な答えが返ってくる。

「だって…エドがいるから。」

「どうしてピーマンが嫌いなの?」と聞いたら、
「だって、緑色だから。」と答えられたような気分だ。
困惑気味の俺の表情を読み取ってか、ウィンリィはちょっとはにかみ
何故か躊躇うようにして、少し顔を逸らして続ける。

「好きな人…と一緒にいると、ドキドキするでしょ?
 見つめ合ったり、手をつないだり、キス、したり。」

ウィンリィの言いたいことにピンときて、自分の頬が熱を帯びるのを感じる。
顔を逸らしているから表情は見えないけれど、間違いなくウィンリィも真っ赤だ。

「恋をすると、限られた心拍数を余分に使うの。
 誰でもね、命を削って恋をしてるんだよ。
 ね。エドはどう思う?私は…」
「だーっ!もう!それ以上言うな!」

明るく笑顔を作って振り向いたウィンリィの顔が、予想どおり真っ赤だったのと
その突拍子も無い論理の可愛さに耐えられず、
俺はウィンリィを力一杯抱き寄せる。
驚いたようにこわばらせた体は、すぐに体重を預けてきて
ふふっと、楽しそうな笑いが耳をくすぐる。
俺だって、きっと顔中真っ赤だ。

自分の心臓が、せわしなく動いているのを感じる。
こんなのをずっと続けていたら、そりゃ長生きはできないな、なんて納得する。
こうして抱きしめるのは初めてじゃないし、
抱き寄せるのにいちいち躊躇するなんてことも、もうなくなったけど。

触れたときの、体温、匂い、感触、息づかい、笑う声。
1つ1つに今でも心拍数が上がって、慣れることなんてないんじゃないかと思う。

お前のいない、長い長い一生を送るのと
お前と、限られた命を奪い合いながら生きるのと。
どちらがいいかなんて質問、ナンセンスもいいとこだ。

俺の命は、きっと死ぬまでお前に握られたまま。
お前以外のヤツに寿命を決められるなんて、まっぴらだ。

だから、お前も俺以外の男にドキドキしたりするなよ?
俺が、いくらでも心拍数上げてやるから。
それでお前の寿命は縮むかもしれないけど
それはお互い様、だから。

…なんて。
そんな台詞、面と向かって言えるわけがなく。
抱えたウィンリィの、サラサラと流れる髪の感触と
抱きしめ返してきた腕の温もりを背中に感じながら
ああ…。俺、今まさに寿命が縮んでるところなんだ、なんて
科学的なのか非科学的なのかわからない考えが頭をよぎって
ウィンリィには気づかれないように、小さく笑った。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
無題
はわあわわ!!!素敵文章が!!
現在、出血多量(しかも鼻血)で、瀕死状態ですが、これでしばらく生きていけます。
萌えのツボがど真ん中ストライクですよ!
ありがとうございます、ありがとうございます。幸せv
なんか、やる気が出てきました。
Kon 2007/08/09(Thu)22:19:32 編集
無題
うっひっひ、萌えですな~(><)
いいですねこの青春していて
決してエロくない雰囲気…
ひなさんの文、好きだなぁ~
羽峰 玲 URL 2007/08/10(Fri)10:47:24 編集
ふぉぉぉぉぉ!!
■>KonKonさん
自分で書いておいてなんですが、
恥 ず か し く て 死 ね そ う で す 。

…いや。でも実際自分の脳内妄想なので、自分が一番萌え死にかけているという究極の自家発電状態ですが(痛)
絵だと自分の萌えを形にしても、画力の問題で萎えちゃうんだけどな。
萌えを消化したいなら、いっそ字書きに転向した方がいいのじゃないかと、本気で考えます。

ツボど真ん中ストライクなんて、これ以上ない褒め言葉をありがとうございます!
こんなものでやる気を出して頂けるなら、いくらでも垂れ流しちゃいますよーv

■>羽峰 玲さん
うっひっひって…(笑)
羽峰さんがオッサンになっちゃったよぅ。・゚・(ノД`)・゚・。

脳内は、人並みに(?)桃色なんですけどねー。
妄想をそのまま文字にしようとすると、ディスプレイから火が出る仕様なのですよ(笑)
実際、心拍数が上がるのってあんなことこんなこと…とか考えたけど
そのへんは羽峰さんに任せて、私は青い2人でも生産することにしました☆

稚拙な私の文を、好きだなんて言ってくれてありがとうございますv
ひな 2007/08/10(Fri)23:53:14 編集
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
フリーエリア
最新トラックバック
プロフィール
HN:
ひな
性別:
女性
自己紹介:
■住まい:沖縄
■生まれ:1月16日
その他、バトン回答参照
バーコード
ブログ内検索
最古記事
忍者ブログ [PR]