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どーでもいい、管理人の日常とか思った事とかつらつらと。
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また書いたよエドウィンSS。
というか前回のものの最後で書いたように、本当は最初はこっちのものを書いていたのだけど
あまりにもシリアスっていうか痒いっていうかで耐えられなくて途中でやめたわけですが、
サイトを開設した時点でもう恥も何も捨ててる覚悟なんだと悟ったので、
こちらも載せてみようと思います。せっかく書いたのにもったいないので(←まがうことなき本音)
前回以上に脳内偽造バリバリなので、「もうエドウィンだったら原作からどんだけかけ離れててもいい!」って方は読んでみると…うん。

えー…。本当に読んじゃいますか?そうですか…。
なんていうかもう、色々スミマセンorz

**************************************************

また、旅立ちの朝が来た。
外はまだ暗いが窓辺はヒンヤリと冷たく、外はピリリとした空気で満ちているのが室内からでもわかる。
アルは支度を済ませ、既に階下で待っている。
「今夜は冷えるから」と、昨夜ばっちゃんが置いてくれたストーブのお陰で室内は暖かく、
冷たい外気との境目の窓は、白く曇っていた。

壊れた機械鎧をひっさげて、故郷へ帰ってきたのが3日前の昼過ぎ。
いつものように飛んで来たスパナを甘んじて受けて、
「もっと女らしくしろよ」と整備士兼幼馴染みの少女と口論になったのは、いつも通り。
「すぐにでも出発したいんでしょ?」と、寝ずに修理をしてくれたのも、いつも通り。

結露した窓に右手を置いてみる。
もちろん冷たい感覚は無く、窓は曇ったまま。
そんなことはもうとっくにわかっているのに、こみ上げて来る気持ちにはまだ慣れない。

幼馴染みとその祖母のつけてくれた右腕は、何度も危機を救ってくれた。
立ち上がる足と、大切なものを守る腕を与えてくれた2人には感謝している。
そしてそのうちの一人、幼馴染みの少女に対する気持ちは
感謝や家族愛とはまた違ったものだと、いい加減自分でも気付いている。
ただ、認められないだけ。

認めてしまえば、あいつに言ってしまえば、きっと動けなくなる。
俺も、あいつも。
だから、認めない。言わない。
目的を果たすまでは。弟の体を取り戻すまでは。

わかっているのに。
それでも、ふいに言ってしまいたくなるときがある。
旅先で、何気なく機械鎧を見つめているとき。
やっと掴んだ情報が空振りに終わって、振り出しに戻ったとき。
リゼンブールに戻って、久しぶりにあいつの顔を見たとき。

朝になって、見送るあいつの顔を見たら言ってしまいそうで
だから今日は、わざと早朝に出発しようと決めたのだ。
この気持ちは、表に出してはいけない。
でも、せめて、いつか消える文字でなら…。

生身の左手の人差し指で、つつと窓ガラスをなぞる。
しずくが指につく、冷たい感触。
幼い頃、弟と2人で曇った窓に色んなものを描いたことを思い出す。
過去も未来も輝いていたあの頃からは、もう随分遠くまで来た気がするけれど。

描きあがったものを見て、我ながら女々しいことするなぁと苦笑する。
でも、今の俺にはこれが精一杯。

日が昇り、外の気温が上がれば、この文字は消えてなくなる。
この3日寝ずに機械鎧の修理を続け、昨夜遅くに寝に入ったウィンリィが起き出すのは昼過ぎ。
それまで、この部屋には誰も入らない。見られることもない。
胸の中にあるこの気持ちも、ここに置いていこう。

振り向かずに部屋を出る。
玄関では、アルが待ちくたびれているはずだ。
あと何度、こんな朝を過ぎれば終着点に着くのか見当もつかないけれど。

走り続ければ、いつか辿り着くと信じて。
暗い早朝の道を、弟と2人、駅へと向かう。

+++++++++++++++++++++++++

やっぱり、もういない。
空っぽになったベッド。開けっ放しのカーテン。
窓から入る西日に目を細めながら、数時間前までここにいたはずの兄弟を思う。
急に帰ってきたと思えば、急にまた旅に出る。
そんなの、毎度のこと。今さらどうこう言うつもりはないけれど。

せめて、「いってらっしゃい」くらいは言いたかった。
出発する時間まで、私も寝ずに待っていれば良かったかな。
そんなことを思いながら、少し乱れたベッドのシーツを整える。

ああ。今夜も寒くなりそう。
ストーブに火を入れて、ベッドに腰掛ける。
ぽすん、と横になってみれば、かすかにあいつの匂いがするような気がした。
もう今はあいつは見ていないから、困らせることはないから。
今だけは、隠していた気持ちにほんの少しだけ浸っても、いいよね。

夢を見た。
幼い頃の、エドと、アルと、私。
エルリック家に泊まった夜。
一つのベッドに、三人ぎゅうぎゅう詰めで眠ったっけ。
部屋を暖めたストーブの熱よりも、兄弟の温もりがずっと心地よかった。

いつから、お互いを別の生き物だと意識するようになったんだっけ。
いつから、全身で温もりを感じられなくなったんだっけ。

………いつの間に私、寝ちゃってたんだろ。
部屋の中は既に真っ暗だ。大変。夕飯の支度も手伝わず、ばっちゃんに怒られる。
体を起こし、サラサラと落ちて来る髪を軽く後ろに跳ね上げて
火を消そうと手探りでストーブを探すがうまくいかない。
仕方なく、一つため息をついて部屋の明かりをつけてふと窓を見ると。

目に飛び込んできたのは、結露した窓に浮かび上がった相合傘。
「オレ/ウィンリィ」と書かれたその筆跡を、私はもう随分前から知っている。

この部屋は、今朝まで幼馴染みの兄弟が使っていた部屋で。
自分の指とそう違わない太さで書かれたその文字は、筆跡から言ってもどう考えても兄の方のもので。

胸が熱くなる。
同じ想いでいてくれるという、嬉しさ。
コッソリと、いつか消える窓の文字でしか表せなかった、その気持ち。
彼はきっと、直接私に言うつもりはないのだろう。
あいつのことだ。せめて、弟の体を取り戻すまでは。

それならば。

私も、気付かなかったフリをしよう。
あいつの気持ちも、自分の気持ちも。
何も気付かなかったフリをして、今まで通りに。

2人が目的を果たすまで、支えると言ったのは私だ。
だから、足かせになるようなものは作ってはいけない。
それが、私にできる精一杯のこと。

そっと触れた窓は、ひんやりと冷たい。
そのまま手を滑らせて、浮かび上がった傘と文字を拭き取る。
思いを形にしたものは、あっけなく消えて無くなってしまったけれど。

ねぇ。全てを終えて、あんたがここに戻ってくる日が来たら。
ちゃんと私の目を見て、言って。
どんな言葉でもいいの。あんたの口から聞けるなら。
それまで、私はずっと2人を支え続けるから。

お互い心に抱いた気持ちだけは、消えずに残っていて。

**************************************************

………なんていうかもう、臭すぎて失神寸前ですorz
我ながら、お前の脳内はどうなっているのかと小一時間問い詰めたい。

でもね。
思うに多分原作ウィンリィも、兄弟が旅を終える日まで
自分の気持ちは絶対にエドには明かさないんじゃないかなと思うのですよ。
あの子はそういう子だと思うのです。妄想しすぎですか。そうですか。

アレですよ。ベッドにぽすん、となったウィンリィちゃんの所は、
誰もいない放課後の教室で、こっそり好きな人の机に座ってみちゃったりしたあの頃を思い出して!
…って、そんなことしませんでした?私はやったのですが(痛)
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!!
萌え死にそうです。

思いっきり、どツボです。
真ん中ストレートストライクですよ!

こんな素敵な文章が書けるのは本当に尊敬します~。

ぜひ、これもサイトに保管をv
Kon 2006/11/10(Fri)00:26:00 編集
私は恥ずかし死にしそうです…
瀕死のKonさんの横で、恥ずかし死にする私の姿が見えます…。

なんていうかもう、書けば書くほど余計なことまで浮かんできてしまい…。
筆が滑るというかキーボードが滑るというか。
どんどん変な方向に行くのを必死に止めようとする自分がいましたorz
愛だけは込めた!愛だけは込めたので、こちらもこっそりサイトに保管してしまうつもりです。
コメント、ありがとうございましたv
ひな 2006/11/10(Fri)00:58:09 編集
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