忍者ブログ
どーでもいい、管理人の日常とか思った事とかつらつらと。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

某所の管理人さんが、素敵絵を描いていたのですよ。
私的には、もうツボど真ん中なシチュっていうか発想っていうか。
で、うっかり妄想してしまった私はその方宛てに、ウザイ程の情熱を込めて
「コレでSS1本書けちゃいそうな勢いですよ!」とか言っちゃったわけですよ。

そこで終わっていればまだ良かったのですが、返ってきた返事が
「you!やっちゃいなよ!」だったわけで(注:意訳です)
本気にしちゃった私は本当にSSらしきものを1本書いちゃったわけで…。

と、いうこと、で。
えへ…。今から隠れるための穴掘ってきます。

えーと。内容は、ほのほの系のエドウィン…かな。
「読んでやろうかな」という方は、「読みます?」からどうぞ。

よ、読みます?読みますか?
題名なんてつけるセンスないので、無題で。

**************************************************

「そういえば、エド。」
唐突に、ウィンリィの声がする。
それに対して「ああ?」と生返事を返し、
俺はテーブルの上に広げた本のページをめくった。
ちょうど今、いいところで目が離せないのだ。

昨夜遅く、俺とアルは機械鎧の修理のためにリゼンブールへ戻ってきた。
今回もできるだけ早く修理してもらってすぐに出発するはずだったのに、
必要なパーツがちょうど手元に無いらしく、修理は翌日へと持ち越された。
さらに今朝一番に町へ買い出しに行くも、そこも品切れで入荷待ち。
ゆえに、俺とアルはロックベル家に足止めを食らっているわけだ。

図書館も無い、娯楽施設も無い、故郷なのだから、当然見て回るような珍しいものも無い。
無い無いずくしのこの村で時間を潰す手段と言えば、寝ることくらいしか浮かばない。
幸い、以前から探していた本を町の本屋で数冊見つけたので買って帰り、
今まさに読んでいる最中なのだ。

自分で言うのもアレだが、読書中はろくに人の話を聞かないのはいつものこと。
すぐに「ちょっと!ちゃんと聞いてるの!?」という言葉が続くだろうと思ったが、
予想に反して次の言葉がなかなか降ってこない。
気になって顔を上げると、紙に何やら書いているウィンリィが目に入る。

「うーん?こんな感じだったかな…」とブツブツ呟きつつ、紙をこちらに向ける。
それを見た瞬間、俺は飲みかけていた紅茶を思いっきり吹き出してしまった。
「汚い!」と反射的に避けたウィンリィを、むせながら涙目で見ると、
先ほど自分で書いた図形をまじまじと見つめて、もう一度俺の方に向けて問うてきた。

「ね。これ、どういう意味?」

どういう意味と言われても…。
自分でも忘れかけていたものを今さら目の前につきつけられて、
羞恥と後悔で今すぐ逃げ出したいくらいだ。
そんな俺に構わず、ウィンリィは言葉を続ける。

「半年くらい前にも、あんた私の最高傑作の機械鎧を完膚なきまでに壊して帰ってきたじゃない?
 そのときに、エドが使っていた部屋の窓に描かれていたんだけど。
 線の太さから見て、エドが描いたものでしょ?アルならもっと太い字になるもん」
端々にとげを感じる言い方は、もうこの際どうでもいい。
今は、どうやってこの状況を誤摩化すかで頭がいっぱいだ。
っていうか…。

「ど、どうしてお前、ソレを知っているんだよ?」
ソレを描いたのは、確かに俺だ。
出発の日の早朝、曇った窓ガラスに指で描いた図形。
寒い朝だったから、ストーブで温められた室内との境目で窓は濃く結露していて。
子供の頃、よく絵や字を描いたように、戯れに描いたその図形。
ウィンリィが起き出す昼には、すっかり消えて無くなっているはずだった。
だから、そのまま残して旅立ったというのに。

その疑問には、すぐに答えが返って来た。
バカねぇ。と笑いながら、ウィンリィは説明する。
「夕方頃に起きて、私あの部屋に入ったのよ。
 それでストーブつけて横になっていたら、ついウトウトしちゃって。
 で、起きたら夜で、外も寒くなっていたから窓がまた曇っていたの。
 曇った窓に描いたものって、また窓が曇ったら浮き出て来るのよ。知らなかった?」

…知らなかったよ。悪いかよ。知っていたら消して行った。
しかし今それを知ったところで、後悔先に立たず。
ウィンリィに見られて、バッチリ覚えられているのではどうしようもない。
どうする?どうする俺。適当なウソを並べて逃げ切るか?
それとも、いっそのこと本当の意味を教えて…。

………………。
そんなの、できるわけがない。
だいたい、こんな形でバレるなんて不本意だ。カッコ悪すぎる。
言うのは、今じゃない。うん。逃げ切る選択に決定、と。

「どうしたのよ、エド?」
黙り込んだ俺を不審に思ったのか、ウィンリィが俺の顔を覗き込んでくる。
思った以上に近いその距離に、顔に朱がのぼるのを意識しつつ平静を装って答える。

「ああ…うん。思いだした。確かにソレは、俺があの時窓に描いたものだ」
「でしょ?帰ってきたら、どういう意味なのか聞こうと思っていたのよね。
 私の名前が入ってるし、気になって。
 …で、どういう意味なの?コレ」

純粋に探究心を込めた目に見つめられ、俺の脳は必死に苦しくない言い訳を探す。

「知らなくてもいいことだ」と誤摩化すのは無理そうだ。
そもそも、こいつは一度気になったことはそのままにしておけない性格なのだ。
半年も前に見た図形を律儀に覚えている辺り、相当気になっていたのだろう。

実は問題のその図形、いわゆる「相合傘」というやつで。
リゼンブールでは見たことのないものだったから、ウィンリィは知らないのだろう。

相合傘には、男女の名前を並べて書くわけで。
既にウィンリィが言っているように、片方には彼女の名前が書かれていたわけで。
そしてもう片方には、悩んだ末に名前を書けず、せめてもの気力を振り絞って
「オレ」とか書いてしまったわけで。

あいも変わらず、ウィンリィはこちらをじっと見つめている。
なかなか答えが聞けずに、そろそろイライラし出す頃だ。
もう、勘弁、してくれ…。

助けを求めて弟をチラリと見れば、にこりと笑い返すだけ。
いや、今のアルに表情はないけれど。絶対に面白がっている。

どうやって、この状況をうまく切り抜けるか。
窓の外を見ると、のどかな村の風景が見えた。

「あー…。それは、だ、な…」
「うん。これは?」

やっと口を開いてみたものの、次が続かない。
長い沈黙の後、やっと出てきた言葉は、我ながら情けなかった。

「お、おまじないだよ!」
「…………おまじない?」
明らかに疑っているウィンリィの目が痛い。
そりゃそうだ。俺だってこんなウソ、信じない。
でも、一度言ってしまったからにはごり押しで誤摩化すしかない。

「そう。おまじない。前に本で読んだんだよ。
 東洋に古くから伝わるものらしくてさ。
 名前を書かれた人が無病息災で過ごせるって」
「ふーん…。でも、私の名前の横に『オレ』ってあるけど。
 コレってエドのことよね?並べて書く意味はあるの?
 アルとかばっちゃんとか、他にも書くべき人はいるんじゃない?」

鋭いツッコミに、さらに俺の脳はフル回転。
と言っても、既にしどろもどろでろくな案が出るわけもなく。
「それは、アレだ。とりあえずっていうか。整備士がいなくなったら何かと困るしな。
 アルとばっちゃんの名前を書かなかったのは、一度に2人までしか書けないからで…。
 ひと月に1つしか効果が出ないんだよ、それ!アルとばっちゃんの分は後で書いたし!」

さらに、長い、長い、沈黙。
隣のアルが、あきれているのが空気でわかる。
いくらなんでも、苦し過ぎだった…か?

恐る恐るウィンリィの様子をうかがうと、
予想外ににこりと笑い返してきた。

「そ。わかった。
 まぁ、理由はどうであれ私の無事を祈って描いてくれたわけでしょ?
 …ありがと」
素直に礼を言うウィンリィに、胸が少し痛む。
いつだって彼女の無事を祈っているのは紛れもない事実だけど。
本当は、アレに込めた気持ちは、もっと別のもので。

いつか、言える日が来るのなら。
もっとちゃんとした時に、ちゃんとした形で。

とりあえず、今度から曇った窓に何か描いた後は、ちゃんと消そう。
次にこんなことがあったら、多分本気で失踪したくなりそうだ。
そんな決意を胸に、俺はまた本に意識を戻した。

…数ヶ月後、どこで見つけてきたのかウィンリィが相合傘の本当の意味を知って、
問いつめられた俺が今回以上にしどろもどろになるのは、また別の話。

**************************************************

…つーわけで。そんな感じです。
なんていうかもう…スミマセン。本当。図に乗りましたorz

エドの言い訳の辺りは、できれば書かずに「どうやって切り抜けたんだ!」と読む人それぞれに想像してもらいたかったのですが、
うまく文章を収束させることができずに結局ダラダラと訳わからん言い訳を言わせてしまってorz
実際、エドは頭がいいのでもっとマシなウソをつくとは思うのですが、
私の脳内ではコレでいっぱいいっぱいでしたorzウソつくの下手だ私。

実はコレの前に、同じ「窓に描いた相合傘」というネタでもう1本SSを書いたのですが、
そっちはなんていうか、シリアスになっちゃって痒いのなんのって。
元々、最初に浮かんだのがギャグ的な空気だったのでこっちの方が合っているかな、と。
逆走するエドと天然なウィンリィが、私は大好きです。
脳内偽造だけど。二次創作ってそんなもんでしょ…。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
素敵すぎです
素敵すぎて萌え死にそうですよ!
これはサイトに保管しないのですか?
というか、保管して欲しいです。
Kon 2006/11/07(Tue)21:18:10 編集
Re:ぎゃあ!!
ももも、萌え死にそうとか!ありがとうございます。
なんていうか時間軸とか原作の性格とか無視している上に、文章が稚拙すぎて泣けてきますorz
でも、せめてシチュエーションを想像して楽しんでもらえたらと思って書いてみました。
少しでも楽しんでもらえたみたいで、すごく嬉しいですv

せっかく書いたのですし、もう1本のSSと一緒にサイトの方にもコッソリ載せてみようと思いますー。
ほんとに、コッソリと(笑)メインコンテンツにしても、増える予定は無いですし。
…というか、ソレを言うならイラストも増えてないし…って話になるのですがorz
【2006/11/07 22:08】
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
フリーエリア
最新トラックバック
プロフィール
HN:
ひな
性別:
女性
自己紹介:
■住まい:沖縄
■生まれ:1月16日
その他、バトン回答参照
バーコード
ブログ内検索
最古記事
忍者ブログ [PR]